「言えなかった言の葉」

ある程度聴きこんでみたところで、ブックレットに記載されていないあれこれ、あるいは雑感やら私的解釈やら妄想やらをつらつらと。
とりあえずは独力のみを頼りに。どうしても聴きとれないからパス、あるいは、ここはそうじゃないだろ、なんてこともあるだろうけどそこは御愛嬌。内容が前後したり、急に別の曲に話が飛ぶ可能性もあり。今回のコンセプトからして、各曲のベースは過去作のあれそれというわけで、その内容およびそれに関する私的解釈が前提になる可能性も大?

4曲目、第3の地平線こと『Lost』より、「ゆりかご」の「女」の物語。歌手は今回初登場の誰か。ほんのり甘い声音が、穏やかでどこか気だるい曲調にベストマッチ。いいわあ。序盤の序盤は特に、情景といい曲といい「ゆりかご」をかなりのところ下敷きにしているっぽいのがまた好印象。

■モニターに文字が表示されていってるようなSE。横書きのごとく左から右へ。ブックレットの上の方、「ワタシは~」をタイピングしてる?
「食物が連なる世界」ほどではないかもしれないにしても、これもかなり前提的なところから「補完」がなされているように思えるのだけど、「ワタシは」以下は「推測」および「補完」をしているとは語っていない。「ゆりかご」の物語は、「古く劣化」した情報というわけでもないのかな。その境界はいったいどこに。
とりあえず「ワタシ」によると、「ゆりかご」の彼女が子に注ぐ愛情は並一通りのものではなかったらしい。「溺愛」と断言するほどなら、それは何によってそうなったんだろう。このあたりがもしかして「【否定】された何か」に関わってくるのかなー、とぼんやり想像。おそらく「ゆりかご」から読み取れる情報の中にはないものだと思う、これ。
どこでその「【否定】」が働いたのかも悩みどころ。歌詞の流れを追う限りでは劇的な変化らしきものは……ある、のか? 強いて挙げるなら「今にして思えば」のところだろうか。そうだとして、いったん「幻想」もしくは「あい」を「【否定】された何か」であると仮定してみると……たとえば、彼女を相手に一夜の火遊びに興じた(らしい)男性に、あっさりとうち捨てられたことに対する「哀」、なんてどうだろう。「ゆりかご」では捨てられた哀しみに打ちひしがれて彼への未練を断ち切れず、彼を偲ぶ唯一のよすがでもある我が子に執着し溺愛するけど、その頃から心を病んで正常な判断力を失いつつあったか、あるいは我が子ひいてはその父親に執着するあまり周囲から見放されたかで、子どもが病気になっても打開策を講じられないまま、子を失ってしまった……とか。で、その捨てられた哀しみを「【否定】」することで彼女は子どもを育てることにまっとうに前向きになり、結果、周囲の協力も得られて子は助かる、というのがこの物語なんじゃないかな、と。ローランの推測・補完も火を噴くぜ。だがいつものことである。それにこの解釈ならいちおう、「私の愛した人達はみな ~」のくだりにも沿うんじゃないかなと。
「ゆりかご」のメロディ。「狂気に気付いても誰が言えよう 抱いてるその子は「もう骨になってる」と...」。

■What could(?) the words possibly tell the partners, who have different subjectivity.
 The unknown lady who was among the lost.
 She is the nine(nein?).
アイクナレ。「what」の次がいまいち聞き取れない。「possibly」との兼ね合いで「could」なのかな。聴くだけなら「did」かとも思うんだけど。
訳すと、「異なる主観性を持つ連れ合い(?)に、言葉はいったい何を伝えられるのか。喪失の狭間にあった知られざる女性。彼女はナインである」? 「partners」をどう訳したもんか。「彼女」に即していいのなら「伴侶」や「配偶者」みたいな意味合いにするしかない気がするんだけど、しかし複数形か……。

■《坂道》→「みち」
 《潮風》→「かぜ」
 「通い始めた《坂道》 まだ肌寒い《潮風》」
「ゆりかご」で歌われる、「岬へと続いてるなだらかな道」の情景と思われる。鳥の鳴き声、波と風の音。
 《後髪》→「かみ」
 《頭》→「おでこ」
 「掛替えのない 温もり背中に 感じながら……」
彼女は幼い我が子(まだ乳幼児?)を負ぶっているものらしい。
まず大前提として、このあたりのくだりは、物語の時系列の上ではかなり後のほうに相当していると見る。「病に倒れた母」のくだりからは回想。子どもが病気になったのがいつ頃のことなのか詳しいところはわからないけど、たぶん最序盤のこのくだりからして、彼女が「白髭先生」と懇意になって(そして別れた)のちのことじゃないかなと。つまりおおざっぱに括って「通い始めた」から「愛を求め……」までと、ラストの手紙が絡む「先生」と女性のやりとりが現在のシーン。ただし手紙の内容からして、たぶんラストのあれはこのへんのくだりよりもさらに後?
……と思ったけど、このへんのくだりは彼女が「《突貫診療所》」へ通っていた間の情景という可能性もあるかも。子連れでおさんどんってちょっと無理があるかもだけど、地元の人に世話を頼んで本土通いよりは現実的な気もする。病気を患った後なんだし、経過観察もしてもらったかもだし、通う先がお医者のところとなればむしろ連れて行ったのでは。ちなみにその場合、「《坂道》」は「ゆりかご」で描かれたそれとは別物になる、はず。

■「もう泣かないわ また春が来る……」
前向きな彼女。すでに「【否定】」を経てのこれであると見る。

■《坂道》→「みち」
 《木漏れ陽》→「ひざし」
 「通い慣れた《坂道》 微笑むような《木漏れ陽》」
おおざっぱに括って「現在」だと理解するけど、先の「通い始めた」のくだりからは多少の時間が経過していそう。かすかに足音?
 《戯れる》→「あそぶ」
 《頭》→「おつむ」
 「掛替えのない 温もり手の平に 感じながら……」
子どもは母親である彼女と手を繋いでいる様子。少なくとも親と一緒に歩ける程度には成長したのかも。

■「失った隙間を埋め合いながら 誰もが明日を生きる」
「ゆりかご」の彼女が「喪失」に囚われて停滞しているのだとすれば、こちらは真逆のスタンスか。
「埋め合いながら」は特に、のちに聞こえてくる周囲の人々の励ましや彼女が得る(良かれ悪しかれ)新たな出逢いを暗示しているように受け取れる。もちろん物語としての時系列からすると、それらを経験したことでこの境地に至ったということになるんだろうけど。

■「病に倒れた母が逝く... ~」
咳をする音。病床の母か。「その様を」のところで母が何か言っている……ような?
 「大丈夫だ……心配するな、父さんがいる!」
母を看取った(「見送った」)後、娘の彼女を慰める父親の声。飛田さんかな。
 「荒れた冬の海に父も逝き... ~」
父親は漁業を生業にしていたのかな。岬への「《坂道》」といい、のちのくだりから察せられる離島住まいといい、彼女は海が身近にある生活を送っていたのかも。
 「くそっ、こんなところで……! 帰るんだ、娘のところへ……」
風と波の音。まさに溺れる時の言葉なのか、言葉尻はゴボゴボとして聞き取りづらい。
 「大丈夫かい? しっかりな。わしらがついてるから」
ひとり残された彼女を励ます男性の声。たぶん大川さん。その他、聴き取りづらいけど何人かの声。のちに歌われる「優しい人々」であるところの、近隣の住民かな。
「亡骸を一人見送った」からすると、浜辺に父の遺体が打ち上げられでもしたのかもしれない。

■「季節」→「とき」
 「空虚な季節の中... 私は閉じていた...」
相次いで(?)両親を失った哀しみに心を閉ざしていた、と解釈。

■「哀しみは繰り返す 波の音色に似た調べで」
波の音。ここの歌詞は「哀しみ」を波状に連ねたもの。
 「大丈夫かい? しっかりな。わしらがついてるから!」
さっき同じ台詞を言ってた人らしい。もちろん大川ボイス。
 「ああ、そうだそうだ」
 「大変だったねえ」
 「ああ、ああ。ゆっくり元気になればいいのよ(?)」
 「困ったことがあったら、いつでも言って!」
彼女を励ます、おそらく彼女よりけっこう年配であろう人々の声。
 「孤独の色に 寄り添えぬまま」
「優しい人々」の温かい言葉は、この時の彼女の孤独を癒すには至らなかったらしい。

■「乾く隙間を彼が舐めた ~」
傷心の彼女に接近する男の影。「獣にも似た」でもう色々察した。
波の音。足音。次第に近くなる。
 「やあ。君もひとりなのかい? ……今日の波の音色は、哀しみに、とても似ているね。
 ……哀しいかい? 君の瞳に映る夕日は、このうえもなく美しいよ」
口説き文句のようだけど、それを言う声色は(彼女は「優しい」と歌ってるけど)なんだか硬質で冷たい。嘲笑混じりに聞こえないこともない。担当は誰だろう。この後の「嗚呼...」以下のくだりを彼女と一緒に歌ってるから、とりあえずボーカル&ボイス担当中のサンホラ初登場組の誰か。台詞はさておき歌を聴くとどうもバラッドの人っぽいように思われる……ような。でも違う人かな。
 「滲んでいたけど 全てを許した」
これはどういうことだろう。「涙で視界が滲んでいたけど」? それで「全てを許した」にはどう繋がるのかな。あるいは彼の「眼」や「声色」に欲望が透けて見えたけど、それが自分に向けられることを受け容れたということ? その場合彼女は彼の下心を了解していたということなわけだけど、もしそうなら捨てられて傷ついたりはしないか。いや、捨てられるとまでは思ってなかったならその線もありかな。少なくとも彼女は「優しい」と思ってたんだし。
ところでたぶんこの男、今まで彼女の周りにはいなかったんだろうな。というか十中八九よそ者っぽい。

■「嗚呼... 燃え上がる花は咲き乱れ」
彼女と彼のユニゾン。ここで言う「夜」、のちの「暑い熱い夜」と合わせて、ふたりが枕を交わした夜のことか。
彼の笑い声。わざわざ傷心につけこんでやり捨て(と解釈する)なんて、下衆としか言いようがない。

■「さよならも言えず残された... ~」
彼は朝になればいなくなっていた?
死別でもなければ喧嘩別れでもないこれは、まさに物のように捨てられたと言っていいんじゃないかと。

■《私の胎内》→「ここ」
 「今にして思えば あなたは既に《私の胎内》にいた?」
一夜の過ちの結果、懐妊したらしい。
ここが転機なのかな、と推測。捨てられたのを彼女は当然哀しみはしただろうけど、そうする間にも胎内で子は育つ。哀しみにかまけていては、せっかくできた「私の家族」をも失ってしまいかねない。「もう二度と喪いたくない」からこそ彼女は立ち直るんじゃないかなと。そしてそういうわけで、自分を弄んで捨てた彼(=子どもの父親)はもはや眼中になく、子どもを両親と同じ「私の家族」の一念で大切にして(まっとうに)愛していく、のかも。
 「もう一度信じてみよう!」
彼女の決意。コウモリの鳴き声? なんだろうこれ。裏切りといえばコウモリだから?
信じるのは「《人生》」における「《希望》」ということでいいのかな。

■《人生》→「くらやみ」
 《希望》→「ほし」
 《灯火》→「ひかり」
「《灯火》」は「あなた(=彼女の子)」のことか。

■「あなたが高熱を出した嵐の夜 本土に電話を掛けてくれたのは」
「本土」に対してそこは何かというと、「離島」? ラストの手紙の英語や先生の名前からして、とりあえず英語圏らしいけど、具体的なところはわからない。たとえばイギリスならマン島とか? で、たぶんどの家庭にも電話があるなんて時代でもなくて、自治体の偉い人の家とか、役所とかにでも行かないと電話を掛けることもままならないのかも。
 「あなたを産むことを頑なまでに 反対してた人達でした」
ここは誤植? 「かたくななまでに」だから「頑ななまでに」じゃないかな。
この「反対してた人達」はたぶん、彼女(およびその両親)と付き合いのあった例の「優しい人達」か。若い身空(たぶん)で、しかも女手一つで、どこの馬の骨ともしれない(であろう)人でなしの男の子どもなんか産んでどうする、なんて彼女を諫めたのかもしれない。しかし彼女はその反対を押し切って子どもを産んだ、と。父なし子を身籠もった女性に対して、周りは身持ちが悪いとか言って咎める向きもあるかと思うんだけど、これに関しては彼女が傷心中の出来事だったわけだし、「優しい人達」はあくまで彼女のためを思って「産むことを頑ななまでに反対してた」んじゃないかな。
裏では電話のベルの音。彼女の子どもを助けるため尽力する「優しい人達」。拾えたところだけ挙げてみる。
 「もしもし!? ……先生ですか! 子どもが、急病なんですよ! ええい……お願いしますよ!」
電話口で頼み込む大川ボイスの人。すげなく断られたらしい。
ドアが開く音。
 「別の先生に当たってみよう!」
 「そうだ!」
ドアが開く音。電話のベルの音。
 「嵐の夜なのに小さな漁船を出して ~」
別の先生に当たって話をつけられたらしく、ここからは「本土」へ向かって船で嵐の海を行く。風と波の音。必死に船を操る人々の声。
 「しっかりな! 頼むぞ!」
このあたりからの台詞が聞き取れない。 
 《年齢の割に早くも総白髪だけれど立派なおヒゲがチャーミングな先生》→「しろひげせんせい」
島民の尽力に応えてくれた「お医者様」。見た目より若い人であるらしい。

■「柳の樹皮に解熱作用があるって ~」
「白髭先生」の言葉。柳の鎮痛・解熱作用は古くから知られていたそうな。
ここにもちょっとした時系列の操作があるみたい。シルエットの彼女と「白髭先生」がやりとりするこのシーンは、子どもが一命をとりとめたのちの、彼女が「白髭先生」の診療所に通っていた時のことであるとするのが妥当か。
「ほらっ」で先生が差し出して、彼女の(子どものか?)反応は「Yuck!」。不味かったらしい。
 《最新の医薬品》→「アスピリン」
 《あの時の魔法のお薬》→「アスピリン」
「白髭先生」は彼女の子どもにこれを処方した模様。「アスピリン」は商標名で、正確には「アセチルサリチル酸」というらしい。1971年に、その物質の効能を初めて医学的に解明したのが、イギリスのジョン・ベイン博士。「アスピリン」自体はそれより70年以上前から作られ、多量に服用されていたというからなんだか怖い話。
 「now on sale」
現在販売中……「《最新の医薬品》」というからには、もしかして「アスピリン」が作られるようになってからさほど時間が経っていないんだろうか。「白髭先生」がベイン博士なのかと思ったけど、このへんからすると違うのかも。ジョンなんてよくある名前だし。

■《突貫診療所》→「もと」
 「通ううちに 身の回りの お世話を始めた……」
ドアが開く音。足音。立ち働いているらしい音。
……押しかけ、じゃなくて、おさんどん? もともとは治療後の子どもの経過を診てもらうために通ってたのかもしれない。彼女はいつしか先生に想いを寄せていくことになるわけだけど、先生のほうはこうして身の回りの世話をされることをどう思っていたのかな。

■《経営的判断に基づく取捨選択》→「ビジネス」
 《社会的地位に絡む柵》→「ステイタス」
 《私的生活領域に及ぶ犠牲度合い》→「プライベート」
 《理想だけでは救えない事が多い生命》→「いのち」
火が揺らめく音と嵐の夜の音。
先生も苦労多き人であるらしい。最初のは治療にかかる費用を払えない患者を切り捨てなければならないことであるとして、次のは……玉の輿狙いの女性が寄ってきたりすること? さらにその次はなんだろう。医者の仕事は激務だから私生活が割を食うとかそういう意味合いだろうか。実は生涯独身のつもりでいるとか?
ここで言う「理想」は、貧富の格差や身分の分け隔て無く、すべての命を平等に救うことかな。それゆえの「《突貫診療所》」なんだろうか。たとえばそんな「理想」のために、もとは本土の大都市で学んで医者になったけど、あえて田舎で開業したとかかな。

■「嵐の夜に そう問われた気がした……」
電話で連絡をもらったその時のことか。他の医者は、嵐の夜のことだったからか、あるいは割に合わないビジネスだと判断したのか、話をすげなくはねつけたようだけど、「白髭先生」がどうしてこれを引き受けたのかといえば、やはり命を救いたかったからかなと。
 「もう一度信じてみよう!」
コウモリの鳴き声?
先生の決意。何を信じてみようと言ってるんだろう。自分の理想を貫けるようになること?

■《瞳》→「め」
 「哀しみを... 抱いているんだ……」
波の音。
彼にも哀しみがあると察知する彼女。
ここで言う「哀しみ」はやはり、彼が語っていた、医者としてのあり方が関わるところだろうか。

■「好き」
これが「言えなかった言の葉」。子どもの命を助けられて、診療所に通うようになって、いつしか恋心が芽生えた様子。

■第九の現実→「せかい」
 「向き合うことから 逃げ出さないわ」
「失った隙間を埋め合いながら誰もが明日を生きる」。彼女もそうするのだという意思。「ゆりかご」の彼女とは真反対であろう今の彼女。
 《本当の勇気を得るまでの猶予》→「じかん」
「白髭先生」が好きだけど、それを本人に伝えるにはまだ時間が必要な様子。

■「親愛なるジョンへ
 この手紙が、ご無事でお元気なあなたに届きますように。
 これが届いていたく驚かれることと思います。あなたは今、離島にお住まいだと聞きました。いかがお過ごしですか? あなたが強い正義感をお持ちの優しい人だということはよくわかっておりますので、その島に住む人々はあなたを信頼しているに違いないと信じております。最後にお会いしてから長くなりますね。言いたくはありませんが、あなたが優れた医師におなりになった一方で、私は年をとりました。
 あなたに手紙を書いたのは、あなたに伝えたいことがあるからです。正直に言いますと、胸に抱えたまま長い間あなたに告げられずにいた言葉を伝えたいのです。」
彼女が「白髭先生」に宛てて書いた手紙。読み取れる部分だけを訳したらこんな感じか。
読めない部分に素直な慕情が書かれている……と思っておく。でも、彼女はそれを伝えることで「白髭先生」とどうこうなりたいわけじゃないのかもしれない、とぼんやり想像してみる。会わなくなってからずいぶん時間が経ってるようだし。

■The history of medical care is, in another words, the history of war.
 Ironically, it will accelerate.
 And the ominous steps of world war come so near.
アイクナレ。「医療の歴史は、言い換えるならば、戦争の歴史である。皮肉なことに、それは加速していくだろう。世界大戦の不吉な歩みが、あまりにも近くに迫っている」。
ペニシリンなんかはまさにこれか。
「最新」と言えるのかどうかがやはりちょっと引っかかるところではあるけど、近場から持ってくると、ここで言う世界大戦は第一次のそれになるのかな。もしかして先生は軍医として招集されてしまうのかもしれない。
裏で台詞のやりとり。波の音。
 「先生ー、お手紙が来てまーす。……んん? 差出人は女性!? 先生、これはいったいどういうご関係な――ったぁ!」
女性の声。同じ医療機関(?)で働く看護士か、あるいはかつての彼女のようなおさんどんさんか。
 「おいおい、気をつけなさい」
 「ってて……」
風の音。手紙が飛んでいく。悲鳴を上げる「白髭先生」。
 「ああーっ!」
 「あっ……」
打ち寄せる波の音。手紙は着水した? 女性の笑い声。
事故なのか故意なのか、女性(彼女)から来た手紙が先生の手に渡るのを阻んだこの女性、先生で玉の輿狙いか……。突風は偶然だとしても、ラッキー、ぐらいは思っただろうな。こわやこわや。

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「食物が連なる世界」

ある程度聴きこんでみたところで、ブックレットに記載されていないあれこれ、あるいは雑感やら私的解釈やら妄想やらをつらつらと。
とりあえずは独力のみを頼りに。どうしても聴きとれないからパス、あるいは、ここはそうじゃないだろ、なんてこともあるだろうけどそこは御愛嬌。内容が前後したり、急に別の曲に話が飛ぶ可能性もあり。今回のコンセプトからして、各曲のベースは過去作のあれそれというわけで、その内容およびそれに関する私的解釈が前提になる可能性も大?

3曲目、第2の地平線こと「Thanatos」より、「輪廻の砂時計」の「私」の物語。歌手はおそらく南里さん。梶浦さんの FictionJunction でお馴染み。私のイチオシは「Silly-Go-Round」。Revo曲にはポカフェリで既に参加経験あり。お久しぶりの今回の曲は歌いにくそう。生で歌うのは大変だろうな。

■モニターに文字が表示されていってるようなSE。横書きのごとく左から右へ。ブックレットの上の方、「ワタシは~」をタイピングしてる?
「古く劣化した《情報》の為、所々推測しながら補完する事とする。」とのこと。「所々」と言いつつ補完は最初からフルスロットル。「推測しながら補完」はローランがいつもやってることだけど、この場合は特に、たとえば「Cronicle 2nd」の「聖戦と死神」シリーズなどのようなある程度詳細な流れのあるものとは違って、すごく断片的で限定的な情景・感情を物語として歌う曲が元になっているわけだから、まあ仕方ないのか。
「名もなき女の詩」で「【否定】された何か」を「幻想」または「愛」として、これを全曲に共通するものと考えたけど、それが早くも揺らぐ思い。この曲では、否定が一周まわって肯定になってるような……。終盤の「気付いたの 不意に~」のところで「【否定】」が機能したとして、それゆえのハッピーエンドっぽい締めくくりなのだとしたら、それまでの流れ(「補完」を除いた「輪廻の砂時計」の大筋)に私が覚えるどうしようもない違和感はいったい……。
もしかして、私による「輪廻の砂時計」の見方と、「ワタシ(=R.E.V.O)」による「輪廻の砂時計」の見方がそもそも大きく食い違っているのかな。私は「微笑んだままで逝く」や「私は生きてた」をポジティブに捉えてるけど、逆に「ワタシ」はネガティブに捉えているから、死へ向かう彼女の姿はネガティブに描かれ、さらに「その頃の妻は~」以下の台詞が出現する、という。そしてそこで「ワタシ」が「【否定】」して肯定へ向かう。はじめから元の物語をネガティブに捉えていない私からすれば一見不可解な流れになると。まあ食べられなくて弱っていく、というのも「補完(あるいは創作と言ってもいいかも)」のうちなのだから、ここはあまり気にしないほうがいいか。
で、それを踏まえて考えると、「【否定】された何か」は……子を失ってなお生きていく自分に対して覚える「哀」、ひいては「生きること」そのものに対して覚える「哀」? 少なくとも「ワタシ」は彼女が哀しみを抱えて死んでいく、哀しみによって死ぬものと思ってるようだし、それを否定すれば生きていく流れになるのかも?
「幻想」とするのも無理のない解釈かもしれない。「私は生きてた」を、現実から幻想へと逃避した状態の彼女が紡いだ言葉だとしているのだから、つまるところこの「幻想」を「【否定】」したことでラストのあの流れになる?
ちなみに「幼子の《死》が関係する」というのも「ワタシ」の推測にすぎない。「幼子の《死》」がいったいどこから来たのか気になるけど、もしかして『Thanatos』で「輪廻の砂時計」の前に収録されてる「銀色の馬車」からか。
「輪廻の砂時計」のメロディ。「新しい訪れの 息吹感じながら 笑いながら 歌いながら あなたの腕の中...」。

■Where does the life begin and fade away?
 The unknown lady who is staring at thanatos.
 She is the nine(nein?).
アイクナレ。「命はどこで始まり、どこで消えていくのか。死を見つめる知られざる女性。彼女はナインである」。
「ナイン」の扱いにやはり困る。もう「彼女はナインだ」でいいかな。ぱっと見ギャグみたいだけど。

■《食べ応え》→「ボリューム」
食の細い彼女が苦手とした肉類。ここのくだりからすると、肉類を消化できない病気、とかじゃないっぽいのかな。単に、と言ったら悪いかもしれないけど、本当に苦手なだけだったらしい。
しかし周りの子どもは容赦ない。子どもの頃なんて、誰しもふとしたはずみに吐くもんじゃないのかと思うけど。同級生が給食の牛乳で吐いた、とかならちょいちょいあった話。残さず食べましょう、の言葉の元、食の細い子や食べるのが遅い子が、給食の時間を過ぎ昼休みに入ってもひとりでぽつんと食べ続けてる、なんてのも見かけた。
吐瀉した彼女を囃す子ども達の声。拾えた台詞を列挙。
 「うわ、なんだよこいつ。おい、吐いたぞー!」
 「えー、嘘ー」
 「えー」
 「きったねー」
 「どうしよー」
 「こっち来んなよ」
それに加わらず彼女を励ます、女の子の柔らかい声。
 「大丈夫だよ」

■《女子》→「こ」
 《一生の宝物》→「しんゆう」
 「月のように優しい微笑みが ~」
これまでにもちょくちょく出てきた表現。物語の主人公達に対して好意的な人物に使われていた、のだけど……。
彼女を助ける女の子にも矛先が向く。
 「うわっ、出た出た、いい子ぶりっ子ー!」
 「いい子ぶりっ子ー!」
 「いい子ぶりっ子!」
笑い声。
 「気にしなくていいよ」
囃す声を相手にせず彼女に声をかける女の子。
 「大丈夫だよ~」
 「大丈夫だよ~」
女の子の口真似でさらに囃す子ども達。
 「いいかげんにしなさいよ!」
とうとう周りを注意する女の子。しかし効果はない。
 「大丈夫だよぉ~」
 「それしか言えないの!?」
からかう面々に詰め寄っているらしい。
 「大丈夫だよぉ~」
 「うるせーぞ! やめろ!」
強く制止する男の子の声。直後にぼそっと、
 「素敵!」
女の子の声。「私」の「親友」の女の子か?

■《葉もの野菜》→「くさ」
 「トロいくせに巨乳で ~」
どうせお前らこれにお世話になるんだろうが。今のうちに精々ありがたく拝んどけガキども! ……なんて言えるような子だったら苦労はしない。
 「トロいくせに巨乳で、草ばっか食んで牛かよ!」
彼女をいじめる男の子が口にする、歌われている通りの揶揄。笑い声。
 「鳴いてみろよ。モー! モー!」
 「かわいそうじゃん」
 「やめなよ」
 「ちょっとー」
女の子の制止。女子は男子より早く大人びるというアレか、もっと幼い頃とは違って、いちおう彼女をからかう側には立っていない様子。
 「お前ら、そのへんにしとけよ」
男子の落ち着いた声が制止する。のちに聞こえる「親友」の反応からして、以前も制止してた彼であるらしい。

■《男子》→「ひと」
 「なんだよ、関係ねーだろー」
 「あっ、おまえ牛女のこと、好きなのかー?」
 「嘘ー!」
 「きめぇー!」
 「だから優しいんだ?」
からかうのはやめたかと思えば、恋愛絡みの話には食いつく女の子達。まあそういうもんよね。
 「どういうこと!?」
愕然とする「親友」の女の子。
 「大丈夫? あいつらの言うこと、そんなに気にすることないよ(?)」
 「王子様みたーい!」
 「みんなに言ってこようぜ」
俄然盛り上がる周囲。
 「私の王子様だったのに……」
不穏な気配を漂わせる「親友」の女の子。
 「やめろって! おい!」
最後の男子の声(「王子様みたい」な《男子》のもの?)は何を制止してるものだろう。下世話な恋バナで盛り上がる周囲の面々か。まさか直後の「親友」ってわけじゃあるまいな。

■「……ってゆうか、ウザいんだけどッ!」
「親友」の豹変。前のシーンの直後にこれってわけじゃないよね? 「王子様」な《男子》もいる前で、今まで被ってた猫を脱ぎ捨てるわけはない、と思うけど、正直そっちのほうが(はたから見てて)面白いかも。

■《女》→「こ」
 《醜女》→「ぶす」
 《無駄に色気づいた肉体》→「からだ」
 《私の思い人》→「かれ」
 「アンタみたいなダサい《女》 助ける私は天使みたい♪――って」
あっさり色々ぶちまけるあたり、第三者目線だとまだカワイイと言えなくもないかも。サンホラ風に言うと「低脳」か?
とにかく小さい頃に言われていた「いい子ぶりっ子」は真実であった模様。「私」をいじめていた面々とっては意外だったのか、あるいは「そら見ろ」な感じなのか。「思春期」の話になると「親友」が「私」を助ける台詞が聞かれなくなるあたり、この時にはすでに、「親友」は「いい子ぶりっ子」をやめて陰で周りと一緒に「私」を嘲笑ってたりするのかもしれない。
刺々しい声と可愛い声が入り交じってなかなか醜い。

■《女》→「ひと」
 「この《女》は何を喚いているのだろう?」
「気持ち悪い」には続かないのかな。そのへんは「吐き気がする」に譲っているのかも。
「親友」が見知らぬ他人になった瞬間。この醜い言動はさておくとしても、良くも悪くも「女らしい」というか、マセてる子ではある。

■「滲む夜の影で 星が嗤う……」
「そこに在る風景」では「星空のポエム」と表される「輪廻の砂時計」。「星」は命の灯火のことだろうか。

■The first food which she became unable to consume(?) was all(?) xxxxxxx.
 It was the only she felt delicious.
アイクナレ。肝心なところがいまいちわからない。後のナレと合わせて消去法でいけるかな。
「最初に彼女が食べられなく(?)なったのは(???)だった。それは彼女が美味しいと感じるたったひとつのものだった」。

■「それからの... 私は... 人間不信に陥り...」
「親友」と思ってた子がああだと、あの《男子》にも実は下心があったんじゃないか……なんて彼女は考えたかも。実際のところはわからない。

■《子供に関する福祉団体に長年勤める優しい人であり後に生涯の伴侶となる最愛の男性》→「かれ」
 「真実の愛は在るんだと 運命は有るんだと」
そんな彼女もやがて「生涯の伴侶」を得る。「かれ」に色々凝縮されまくり。
福祉団体は児童虐待防止団体とかだろうか。あるいは障碍児支援のための団体だと、運命の皮肉が効いててしっくりくるかもしれない、とちょっといやな想像をしてみる。

■《お腹の中の宝物》→「このこ」
 「いえ 《お腹の中の宝物》と三人で」
懐妊した彼女。ふたりきりだった家族は3人に。……とここでつい「Yield」を思い出す。
思えばあの《女子》とふたりだった時は(表面上はいちおう)うまくいってて、《男子》が現れるとその人間関係も崩壊したわけだ。

■《幸せ》→「ひかり」

■Unhappiness is the neighbor of happiness.
 It surely lives next to all families.
アイクナレ。「不幸は幸福の隣人である。それはきっと、あらゆる家族の隣で生きている」。
わあ不穏。

■「けれど... 結局人生なんて... ロクなものじゃない……」
「星の綺麗な夜」の彼のように断言する彼女。幸せに影が差したことがよくわかる。
このあたりからうっすらと電子音のSE。彼女と夫の間に生まれた子のための医療機器か。

■《冷たい管》→「チューブ」
長く「ピー」という音。心臓の鼓動が止まった時のあれか。

■「星屑を集めるように 朽ちてゆく世界に」
「輪廻の砂時計」のメロディ。歌詞もほぼそのまま。そういえば「星屑を集めるように」ってなんだろう。虚しいことのたとえ?
 《人生》→「せい」
 「望まぬまま? 産み堕とされ? ~」
疑問符だらけのこのくだりに、彼女の自責と哀しみを見る思い。この後にぽつりと零される「ごめんなさい」が痛い。

■《末梢神経系植物性機能からの指示》→「からだのこえ」
 《第九の現実》→「ひかり」
 《絶望》→「やみ」
「末梢神経系植物性機能からの指示」……は、つまり「体が空腹を訴える」ことか。不随意の自律神経系の働きということで、自分の意思ではどうにもできないこのあたり。
 「この 第九の現実 を裏切って 《絶望》の淵さえ 輝かせる」
我が子が死んで心は打ちのめされているというのに、自分の体は生きようとしていて、そうあらざるをえない世界だからこそ「吐き気がする」へ繋がるのか。

■After then, she became unable to eat seafood, eggs, dairy products, fruits, and even vegetables finally.
アイクナレ。「その後、彼女は魚介類、卵、乳製品、果物、そして遂には野菜さえも食べられなくなった」。
いわゆる摂食障害の一種ということでいいのかな。

■「煌めく... 罪を抱いた星の砂... 零れる窓辺... 一羽の夜鷹」
「食への執着」を否定するほどに「生への嫌悪感」もつのる。
「罪を抱いた星の砂」はどういう意味合いだろう。「星」は命として、「罪」は「(殺して)食べること」か。「砂」と「零れる」は、「星明かりが差す」情景と「命をすり減らして死へ向かう」ことかな。「一羽の夜鷹」は、「自分という存在を許せないでいる」ということと思っておく。「よだかの星」のよだか。

■《苦難の物語》→「じんせい」
 「その頃の妻は《苦難の物語》を生きてきたその意味を、」
このへんのくだりも「輪廻の砂時計」のメロディ。「苦痛に身を委ねる 輪廻を信じて ~」。
彼女の夫の担当は……もしかしてバラッドと同じ人? いい声。
 《構成する哀しみを否定する》→「だます」
哀しみを経て今の彼女がある以上、その哀しみを否定することは彼女自身を否定すること、と理解していいと思う。ここでいう「哀しみ」は、具体的にはなんだろう。「(我が子を失ってなお)自分が今生きていること」かな。それを否定することでもう死んだつもりになっていたのかも。いわば体より一足先に心が死んでた?
 「何度も繰り返した……」
夫の独白の裏で彼女の「私は生きた」、「私は生きてた」。これってたぶん、「私は生きた(だからもう死んでいい)」、「私は生きてた(=今はもう死んでいる)」ってことなんじゃなかろうか。「輪廻の砂時計」で歌われていた「私は生きてた」が、この流れだとこんなにも後ろ向きな意味合いにしか受け取れない……。

■《衰弱して》→「よわって」
 「嗚呼... 心身共に《衰弱して》ゆく君を」
裏では言葉を紡がず歌う彼女の声。ただのラララなのに正気を失った彼女が見えるよう。
 「優しさの皮を被ったそれ以外の【何か】だとしても、」
「【何か】」はなんというか、介護疲れで覚えるようなアレだろうか。そのほうが(自分が)楽だからいっそ、という。夫も辛くないわけないよね。

■「草を食む 虫は呑まれ その蛙を呑む 蛇も喰われ その鳥を食う 鷹は空を どこまでも高く 自由に飛び去った
 遠くで鳴り響いた銃声 屠った彼も いずれは死して土に還る
 彼らを繋ぐ鎖で編んだピラミッドには 勝者など誰もいないと」
ここの歌詞はイラスト。食物連鎖の生態ピラミッド。普通に文字で表したほうがスペースとらないんじゃね、とひっそり思ったけど、これはこれで。

■《眩し過ぎる木漏れ陽》→「ひかり」
 「気付いたの 不意に ~」
「【否定】」の結果。上の方で考えたように、やはり「生きる」ことそのものに対して彼女が覚えていた(であろう)哀しみを「【否定】」したんじゃないかなと。それによって、生と死は循環するということに気づいて、さらにこの後の理解へ。

■《誰かの死を糧にするモノ》→「いのち」
 《鮮やかな新緑》→「こだち」
 《あの子が生きた証》→「わだち」
 《音》→「こえ」

■「私は生きているし、生かされている。今日からはたくさん食べよう。この命を無駄にしないわ。
 生と死が輪になって廻るのなら、何度だって、あなたを生めばよいのだから」
かすかに少女の笑い声。あの時失った我が子が成長したら、こんな風に笑ったのかな。というか上で歌ってた「《音》」がこれか。萌える命のさざめきに我が子の声を聞いた、と。
 「やあ」
 「あなた」
 「今日は、顔色が、いいみたいだね」
 「あら、そう?」
夫婦のやりとり。

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「名もなき女の詩」

ある程度聴きこんでみたところで、ブックレットに記載されていないあれこれ、あるいは雑感やら私的解釈やら妄想やらをつらつらと。
とりあえずは独力のみを頼りに。どうしても聴きとれないからパス、あるいは、ここはそうじゃないだろ、なんてこともあるだろうけどそこは御愛嬌。内容が前後したり、急に別の曲に話が飛ぶ可能性もあり。今回のコンセプトからして、各曲のベースは過去作のあれそれというわけで、その内容およびそれに関する私的解釈が前提になる可能性も大?

2曲目、第1の地平線こと「Chronicle」および「Cronicle 2nd」より、盲目の詩人ルーナ……になるはずだった女性の物語。歌手は誰だろう。とりあえず(少なくとも歌手としては)サンホラ初登場の人のようだけど。今回、ブックレットの後ろのほうにある出演者リストが登場順になっていないっぽいので困惑。……便宜上 R.E.V.O.以外はファミリーネーム(名乗ってない人はファーストネーム)の50音順?
1人の人物の歌唱・ボイス担当は普通に1人で固定されている……よね? つまりイベリア以来のスタイル。しかしこの曲、パン屋のくだりとそれ以外とでずいぶんボーカルの声が違っててびっくりした。Remi さんの東北訛りボーカルといつもの声楽ボーカルよりもさらに落差があるような。ちなみにパン屋のくだりの声は鈴木真仁ボイスにちょっと似てると思いました。

■モニターに文字が表示されていってるようなSE。横書きのごとく左から右へ。
ブックレットの上の方、「ワタシは~」をタイピングしてる?
「《第一の書庫》」が「Chronicle (2nd)」で、「其の地平線」が「辿りつく詩」か。「此の書庫には既にある種の改竄が認められた」というのは、黒の教団(とルキア)絡みのあれこれのことかな。そして【彼】は「詩人バラッドの悲劇」で描かれた詩人バラッド(Ballad)。「薔薇の騎士団」で判明したファーストネームはエンデュミオ(Endymio)。【彼女】は主に「辿りつく詩」で描かれたルーナ(Luna)。のちに恋人エンデュミオの名前を背負ったと言い、「薔薇の騎士団」では「<地上の月輝>と謳われた詩人 Luna Ballad」と語られる。
「《歴史》的な戦争によって引き裂かれた」という情報は「辿りつく詩」にもいちおうそれとなく載っていた。物語の背景はアヴァロン朝ブリタニア王国という架空のものだから安易に現実の史実と結びつけるのは難しいけど、「Chronicle 2nd」のあれこれを加味して考えると、これはつまりブリタニアにおける内乱ということかな。神聖フランドル帝国によるブリタニア侵略は、ローザがブリタニア女王として即位した後のことだろうし。おそらくローザが冬薔薇と呼んだ先代女王が即位する際にもゴタゴタが、薔薇戦争のような何かがあって、それを指している、と考えてみる。
わざわざ「《歴史》」と表示されているけど、これは「Chronicle (2nd)」のことですよというマーカーかな。これ以降も、「《死》」や「《喪失》」ってなってるし。
数字とアルファベットで表された何かを見る限り、「【否定】」された何かはバラッドとルーナに共通のものであるらしい。いちおう書き起こして並べてみると、
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他の曲の冒頭で述べられている「【否定】された何か」らも、これと同じ英数字の羅列。候補としては、「愛」か「幻想」といったところじゃないかなと。「愛」のほうなら、「あい」から「愛」、「哀」、「私」の「I」、「虚数」の「i」、なんてふうに色々いじれそう。
このへんのメロディは「辿りつく詩」。「孤独な旅の 道連れの詩は 遠い空へ 霞んで消えた」。

■What xxxxx appeared xxxxxx
 The unknown lady who remained unrecognized in the chronicle.
 She is the nine(nein?).
アイクナレ。うん、わからん。そしてブックレットに和訳らしきものは見あたらない。マジか……。
「ナイン」と言ってるところは「nine」にすべきか、「nein」にすべきか。英語だし前者でいいかなーと思うけど、ここもやはり掛けてるのかな。
このへんのメロディが「神々の愛した楽園」にそこはかとなく似てる。

■「通り過ぎた遙かな灯が ~」
足音。ルーナがどこかを歩いているらしい。風の音。

■「お前は【辿りつくべき場所】を知っているのかい?」
「白い旅鳥」が、クロセカのあちこちで象徴的な「白鴉」を連想させる。
「【辿りつくべき場所】」は彼女にとって大切なもの、彼女が探し求める者だとすれば、やはりバラッドの行方を尋ねてのこの言葉なのかな。バラッドの何か(「愛」または「幻想」と仮定)と彼女の何か(「愛」または「幻想」(=バラッドが生きていると信じること、および再会したバラッドとの未来?)と仮定)を否定したうえでのこの物語ではあるけど、この少しあとで歌っている内容からしても、ここではまだ彼女はバラッドを諦め切れてはいない様子。
ただ節回しも歌詞の言葉やりもすごく孤独で悲しげで、希望の光はすでに風前の灯火といった風情。打ちのめされてるなあ……こっちまで無性に泣けてくる。

■《風景》→「ひかり」
 「第九の現実」→「よる」
「夜」にドキリ。でも「朱い空」「白い旅鳥」、のちのパン屋のくだりからして、視力を失うという事態には陥っていない。「【否定】」の結果として紡がれる物語では、彼女はどうやら失明を免れる様子。

■《幻想》→「ゆめ」
 「笑う貴方 と 私 と 二人の……」
 幼い子どもの笑い声。
彼女の「儚い《幻想》」、愛した人と自分とふたりの子ども。

■「旅の詩人バラッドよ。
 今宵そのほうの謁見を許すはほかでもない、陛下の即位10年を祝し、祝いの詩を捧げるがよい」
じまんぐボイス。女王に仕える偉い人(?)とすると、宰相とかかな。
しかし「Chronicle (2nd)」関連でじまんぐボイスって、お約束っぽいけどなんだか身構えたくなるなあ。一人複数役が当たり前だったとはいえ。
このへんから「詩人バラッドの悲劇」と「辿りつく詩」でお馴染みのメロディ。どこか民族っぽかったあちらに比べると宮廷風なアレンジ? キーボードの音はチェンバロかな。

■「追憶に揺れる可憐なる其の《朽花》に、」
 《朽花》→「はな」
旅の詩人バラッドのシルエット。歌詞は吹き出しの中。
歌にもボイスにも未出演だったこのお人、初出演してくれたところずいぶん良い声で初見でしばし硬直。うわあどストライク。旅の詩人やれるわけですわ。たいへん美味しいですありがとうございます。例によって担当が誰だかわからないのだけど、もしかしてどこかの劇団出身の人だったりするかな。発音といい発声といい、なんだかそんな気配がするような。台詞を言うのと同じ調子で歌えて、歌うのと同じ調子で台詞を言えそう。
「《朽花》」は死んだ(と彼が思っている)ルーナのこと。「詩人バラッドの悲劇」でも、「今は亡き彼女」を偲ぶ描写がある。
 「咲き誇る薔薇は永遠に届かない……」
ここまでは特に問題なし。

■「バラッド、そのほう無礼であるぞ!」
じまんぐボイスによるお咎め。右寄りから聞こえるじまんぐボイスに対して、ちょっと左寄り(?)から「おお」みたいな男性の声も聞こえる。じまんぐボイスの人のほかにもうひとり偉い人でもいるのかと思ったけど、もしかしてこれはバラッドの声かな。「無礼であるぞ!」と一喝されて竦んでる?

■「然れど... 然れど... 唯... 一輪...」
これに紛れてじまんぐボイス。
 「続きがあったのか」
問題はここから。「気高く美しき薔薇でさえ花である以上、枯れてしまった花には及ばない」と歌って女王の怒りを買うはずだったバラッドが、枯れた花の幻想、彼の中だけの美しい恋人を「【否定】」された結果、女王を「この世の常ならざる薔薇」だとして褒め讃える。
バラッドがどんな意図のもと「然れど」以下を紡いだのかは少し後でわかる。
歌に紛れてじまんぐボイス。
 「ふむ、ふむ……そう来たか」
しかし「この世の常ならざる薔薇」はうまい落としどころかもしれない。妖精の国の薔薇、とかそういうニュアンスかな。

■「冬枯れの世界を常春が如くに、」
じまんぐボイスが合いの手を入れる。鳥の鳴き声。
 「世界を? 如くに?」
 「照らし賜う美は誰ぞ?」
皆さんわかってますね、みたいな前フリか。ここでじまんぐボイスが感嘆の声。

■「其れぞ、我らが女王陛下!!!」
じまんぐボイスも加わって唱和。
女性の高笑い。たぶん「西洋骨董 屋根裏堂」の女主人同様、ボイスは複数の人が少しずつ担当してる。

■The man put his heart into self-defence and had a long life, but his artistic soul died.
 What would people from coming ages(?) evaluate?
 What was the fame he really wanted to defend?
アイクナレ。幸いにして音楽がおとなしいからわりとよく聞こえる。合ってるかなこれ。
訳すと、「その男は自身を守ることに腐心して長寿を得たが、彼の詩人としての魂は死んだ。人々は来るべき寿命から如何なる価値を見いだすのか。彼が真に守りたかった名声とはなんだったのか」という感じ?
「coming ages(?)」をどう訳すかちょっと悩む。要は詩人としての誇りを捨てて長生きするか、短命でも最後まで真の詩人であり続けるか、という2択。前者を選んだうえで、長生きすることがどれほどのもんなのかと問うているわけだし、これでいちおう大筋に沿う形になる?
このナレによると、バラッドが女王に捧げた歌は、まさしく自分の命を守るため女王におもねるものだったということ。幻想の「【否定】」ってそういうこと……。これはこれで、「私はまことの心をまことの声に出だし候とより外に、歌のよみかた心得ず候」みたいな心境で歌ってるのかと思ったら実は真逆だったでござる。
そしてバラッドが投獄されることもなく、彼が綴った「最期の詩」を牢番が聞くこともなく、盲目の女詩人ルーナが生まれることもない。ブリタニアの運命や如何に。バラッドが生き延びることで変わることとは?

■ドアが勢いよく開く音。シルエットの少年(パン屋の見習いか)が飛び込んできた模様。
 「わぁー、粉挽き屋の旦那に聞いたんスけど、」
物語は急展開。シリアスの出番はしばらくない。少年の声は誰だろ。とりあえず女性か。
 「馬鹿野郎!」
 「いってえ~……」
親方が見習いを殴ったらしい。親方担当も誰やらさっぱり。バラッドの人とは別人だよね?
しかし「とち狂って遂に女かどわかして」って酷い言いよう。それじゃ犯罪や。しかし当のパン屋の親父は良いお人。

■「あんた、この水車小屋の近くの森で倒れていたところをよ、ここに運び込んだのさ」
ここの歌詞はイラスト。

■「やぶ医者の奴の話では...」
口ではやぶ医者と言いつつ彼の診断を全面的に信用している様子。親方は「口は悪い」。

■《命の恩人》→「かれ」
 「あんた、本当にツイてたな。~」
ツイてた……ツキがあった。曲中ではほとんど彼女の名前は出てこないけど、これで「ルーナ」を暗示してるものか。

■食べる音。
 「Très bon !」
親方のパンに舌鼓を打つ彼女。
突然のフランス語にビビる。のちに「場所は帝都パリ」なんて歌詞もある。あれっ、薔薇の女王が統治するブリタニアはどこいった。いつの間に海を越えた。そして当たり前のようにフランス語を喋る彼女……英語はフランス語の影響を受けているといっても、英国で普通にフランス語を学んだり話したりしたのはいわゆる上流階級だったはず。庶民(と明言はされてないけど)の生まれっぽい彼女が話せるもんだろうか。これもまた「【否定】」の結果ならえらいこっちゃ。

■「ある心境の変化に戸惑い... 愕然とした後...」
彼女に起こったこれが「【否定】」の結果か。曲調の変化と同じように劇的。
 「暫し... パン屋さんのお仕事を... 手伝うことにしたのであった……」
彼女が出逢ったのがなぜパン屋の親方だったのか、とメタ目線で考えてみるに、ここでのパンはおそらく「食べていくこと=物質的に生きること」の象徴なんじゃないかと思う。食べ物の西洋的代表。そうすると、「【否定】」の結果として現れたバラッドとルーナの成り行きは、実は本質的に同じものなのかもしれない。バラッドが詩人の魂と引き替えに得たものも、結局はパン(=日々の糧)。

■「本気」→「マジ」
 「<」→「より」
 鶏の鳴き声。
「寝るZzz...」の部分は彼女しか歌っていない。「割る」のも「炭」にするのも彼女。慣れないパン屋の手伝いで失敗してるらしい。
 「ルーナ!」
寝る彼女を見咎めているらしい親方の声。

■「拘る → ~」
ルーナが何かを割った後に見習い少年の声。
 「新入り!」
兄貴風を吹かせているっぽい。

■「風土の関係で 我が国の小麦は」
フランスでこれはない……よね? イギリスの話なら頷ける。作中のフランスもとい神聖フランドル帝国はこういうところなの? 現実のイメージがつきまとうもんだからいまいち飲み込みづらい。世界屈指の小麦生産国であるメシウマのフランス。イギリスはメシマズ。イギリスで美味しい食事をしようと思うなら、3回朝食を食べればいいそうで。
このお話では、ブリタニアと神聖フランドル帝国の勢力図はどうなってるんだろう。「【否定】」の結果、女王が代替わりせず国内がまとまらない、あるいは新女王が即位しても士気を高められない(民衆に働きかける女詩人ルーナがおらず、「薔薇の騎士団」も存在しない)ため敗北、ブリタニアは併呑されるとか(そこまでの影響力がルーナひとりにあったかというのも疑問ではあるけど、蝶の羽ばたきが何とやらということで)? そしてなぜか「帝都パリ」はブリテン島に移る? これならルーナがいつの間にやら海を越えてたなんてこともなくなるけど、さすがに無理矢理すぎて気持ち悪い。もしそうだとしても、それなら「我が国」なんて言い方をするもんだろうか。ブリタニアが併呑されたなら、ブリテン島だって帝国の領土ということになるのに。うーん、「《平行世界》」は難物。

■「×」→「だめ」
「だめ」に合わせて「ブー」のSE。
「炭」の後でまた少年が何か言っている。なんだろう。

■「顔も悪いが それは「放っとけよ!」」
親方の声のあとに少年の笑い声。遠慮ないな。
 「場所は帝都パリ ~」
どういうこっちゃ……。ここでルーナにどこのご出身ですかと聞いたらフランドル帝国のどこかだと答えたりするんだろうか。もはやブリタニアの存在がまるっと消えてる勢い。ところでここの最後の部分は、それを言うなら「モチのロン」じゃないのかと思ったけど、これ「パリッパリ」「モッチモチ」と掛けてるのね。

■「親方のでべその看板が目印」
ここの歌詞はイラスト。言われてみれば、親方のシルエットはお腹のあたりが膨れてる。ちなみにここ、親方だけは「俺のでべその ~」って歌ってる?
看板の文字は「Boulangerie de Besson」。ギャグか。
ところで「ブーランジュ」と「ブーランジェリー」ってどう違うんだと調べたら、「ブーランジュ」が「パン職人」、「ブーランジェリー」が「(職人が小麦を選び、そこから焼き上げたパンをそのまま売る)パン屋」であるそうな。どちらもそのへんのパン屋の名前に使われてるけど、そういう違いだったとは知らなんだ。

■《挫けそうな心を励ましてくれる存在》→「くちずさむうた」
なかったことになったバラッドの遺作。「辿りつく詩」に「挫けそうな私をいつも支えてくれたのは」という歌詞がある。

■「人並みの《幸福》を 願ってはいけませんか?」
いけないだなんてきっと誰も言えない……けど、元の物語においても彼女は幸せだったんじゃないかと思うと、何やら辛いものがある。バラッドのことだって然り。
 《幸福》→「しあわせ」
 《苦難》→「ふゆ」
 《花の命》→「おんな」
 《物語》→「じんせい」
 《傍で愛してくれる人の笑顔》→「はるのひかり」(?)
最後がちょっと自信ない。はじめは「かれのひかり」かと思ったんだけど。ところでついここで「めぞん一刻」を連想した。1日でいいから、あたしより長生きして。
バラッドを探そうと決意する心は挫け、パン屋の親方と新しい人生を生きることにしたルーナ。今目の前にいる親方がルーナにとって大切なものになったということなのだろうから、「薄情な女ね」と自嘲しながらも、迷うことはなかったんじゃないかと想像してみる。
こうなったら、バラッドもどこかで新しい人生を始められているといいのだけど。……女王に直に詩を捧げた詩人ということで、世間の評判が高まりすぎて身動きできなくなってたりしないだろうな。だって彼の詩人としての魂は死んでいるわけで。嫌な想像しちゃうなあ。「a long life」は幸福なそれなのか不幸なそれなのか。

■xxxxxx lives in the coming ages.
 But no one xxxxxxxxxx.
アイクナレ。台詞が邪魔で全然わからん……。
ナレと同時に台詞のやりとり。
 「パンー、えー、パンはいらんかねー? マダムの肌のように、外はパリッパリ、じゃなくて、中はモッチモチだよ!」
売り子(呼び子?)をしている少年の売り文句。おい何言ってんの。
 「あーら、それじゃ、ひとついただこうかしら?」
マダムの声。たぶん沢城さんかな。
 「まいどありー!」
ちょっと被さるようにして親方とルーナの声。
 「おお、腹が減ったのか? パンパンにしてやろうか?」
 「もう、パンはまだ早いわよ」
 「早いか?」
 「ふふ、もう……」
 「ハハハ……」
「詩人バラッドの悲劇」「辿りつく詩」のメロディ。

■「めでたし、めでたし」
って言い切っていいんです? なんて疑問をさあ抱いてくださいと言わんばかりの言葉。言っているのは黒猫の誰かだろうか。

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「檻の中の箱庭」

ある程度聴きこんでみたところで、ブックレットに記載されていないあれこれ、あるいは雑感やら私的解釈やら妄想やらをつらつらと。
とりあえずは独力のみを頼りに。どうしても聴きとれないからパス、あるいは、ここはそうじゃないだろ、なんてこともあるだろうけどそこは御愛嬌。内容が前後したり、急に別の曲に話が飛ぶ可能性もあり。今回のコンセプトからして、各曲のベースは過去作のあれそれというわけで、その内容およびそれに関する私的解釈が前提になる可能性も大?

1曲めということで、Story CD のお約束(?)、今回の物語群の外枠と言うべき内容。テクノっぽいエフェクトばりばりのケロケロボイスでわかりにくいけど、ボーカルは Revo もとい R.E.V.O. ……でいいんだよね? あとで映像のたぐいも確認しなきゃ。
「檻の中の箱庭」というタイトルがまずもって意味深。檻花シリーズを思い出す。あれらもたいがい謎めいた物語ではある。そういえば「Ark」には「箱庭を騙る檻の中で」という歌詞があった。今回のこれはなんだろう。檻がリアルの世界、箱庭が各個人の主観で知覚される世界とか?
下書きの状態で少しずつ書き進めていたはずが、余計な操作をしたらしく書きかけのまましばらく公開してしまっていた模様。やっちまった。

■(The eye-gaze? The eye gaze? The I gaze?) from afar(?) peep(?) the phenomena(?).
 The ones who were able to create plenty of worlds were the Laurants(?).
 Once the wishing stars were spread all over the sky of July.
 Thus the different horizons were linked as one.
何かが起動するようなSE、そしてアイクナレ。ブックレットの「檻の中の箱庭」から1ページ前に戻ったところの「彼方より来りて~」の文に相当。もしかして和訳抜きで一から英語を起こさないといけないのかとおののいたのは内緒。ヒアリングは得意じゃない。
初っ端からつまずきまくりでどうしよう。
「eye」でも「gaze」でも「視線」の意味には充分のようだけど、グーグル先生に聞いてみると「eyegaze」または「eye-gaze」なんて言葉もあるみたい。「gaze」を動詞ととるか、「eye」と一体化した言葉の内ととるか。動詞と受け取った場合、アイクナレによれば主語となるはずの「eye」は単数だから、「gazes」にならなきゃいけないはず。しかし聴く限りではやはり「gaze」……「覗き観る」に相当する「peep」にも3人称単数の「s」がついてるようには聞こえない。となると「視線」から率直に「the eye」だと思われた冒頭の「ジ・アイ」は、実は哲学的な「the I」、つまり「自我」……ということになるのでは? で、3人称のはずの「the I」をさも1人称のように扱っての「gaze」と「peep」なんじゃなかろうか。つまり、
 ×The eye-gaze from afar peep the phenomena.  [ peeps ]
 ×The eye gaze from afar, peep the phenomena.  [ gazes ] [ peeps]
 ?The I gaze from afar, peep the phenomena.
3人称の問題は依然としてつきまとうけど、「I」だからあえて、わかっててやってるんじゃないかなと。少なくともこういう理解なら上ふたつよりは納得のしどころがあると思う。あるいは、「gaze」はともかく「peep」は過去形なのか? 「peeped」? そう聞こえる……かなあ……? その場合どう見ても現在形なブックレットの文章にそぐわないし、「事象を覗き見る」のは過去の動作に限定されることではないはずだと思うんだけど。
ところで「peep」は普通は自動詞だから、「○○を覗き見る」の意味で使う時は「peep at ○○」のようになるはず。でも「peep at」でも「peeps at」でもなく、「peep the」と言っているような……。そういうふうに他動詞として使う場合、「○○を覗かせる、押し出す」の意。
つたないSF的解釈になるけど、これらを踏まえて総括すると最初の一文は、自我である「私」が観測して初めて「事象」が存在する、という意味を含んでるのかなと。「私」を介さない、より高次の本物の「リアル」ではなく、「私」の数だけ存在する完全に同一ではない(=「私」の見方によって解釈が変わる)「現実」の話をしてるんです、という。
「afar」にもいまいち自信がない。「彼方から」で「from afar」なら意味としてそのまんましっくりくるんだけど、「f」のあとに「r」っぽい音がしてる、ような……。「from a front」? 額から? 前頭葉から?
《幻想の神々》に相当する部分が聞き取りにくい。もしかして「ローランツ」って言ってる? だとすると、物語の読み手(=サンホラファン=ローラン)もまた、それを解釈し受け止めるという点で、物語を生み出す者に相違ないと言いたいっぽい。ところで「ローラン」の表記ってこれでいいんだっけ。『Roman』発祥のアレだけど、全部が全部おんなじ「ローラン」じゃないよね。そういえば中には「ロラン」って子もいた。とりあえず Revo プロデュースのファッションブランドの名前に倣っておく。
「嘗て願いの星は~」からは和訳そのままか。文月、つまり7月の空に云々が気になるけど、七夕の時期にサンホラ公式がアンケートでもやってたんです?

■Einst(?) schuf Gott den Menschen zu seinem Bild.
 (アインスト シューフ ゴット デン メンシェン ツー ザイネム ビルト)
 Doch, zu welchem Zweck wurde dann jenes(?) geschafft?
 (ドッホ ツー ヴェルヒェム ツヴェック ヴアデ ダン イェーネス ゲシャフト)
サッシャナレ。
「嘗て神は、自らの姿に似せ人間を創った」。これはたぶん旧約聖書でお決まりの文句。そっくりそのまま引用というわけではないっぽい?
どうも最初の言葉が「als(アルス)」に聞こえて困る。過去の一度きりの事象を表す「als」は従属接続詞だから動詞が2番目に来るわけないし、やはり素直に副詞の「einst」なのかな。「zu seinem Bild」は本来なら「zu seinem Bilde」であるらしい(雅語なのか?)。でもたぶんここでは「Bild」と言っている……と思う。
1行目の「shuf」と2行目の「geschafft」はどちらも「schaffen」が元になった言葉だけど、実は「schaffen」にはふたつある。前者が「創造する」の「schaffen」、後者が「(苦労して)成し遂げる」の「schaffen」。これだけならひとつの言葉の複数の意味ってだけだけど、実はどっちの意味で使うかによって変化形が変わってくる。schaffen, schuf, geschaffen。schaffen, schaffte, geschafft。以上蛇足。

■Nein, das ist der neunte Horizont.
 (ナイン ダス イスト デア ノインテ ホリツォント)
ドイツ語ということでタイトルコールもサッシャが担当。「『いいえ』、それは第9の地平線」。

■「主よ」→「mein Herr」 (マイン ヘア)
ミャウミャウ、の節回しで再三出てくる歌詞。はじめはミャウミャウに洗脳されたのか、この部分もミャウミャウ歌ってるのかと思った。落ち着いてじっくり聴いてみればたぶんこう言ってる。
「神」を意味する「主」っていうと、ドイツ語ではおおむね「der Herr」になるかと思うんだけど、ここでは「mein Herr」。こうなると「神様」というよりむしろ、ニュアンスとしては「ご主人様」や「マスター」といったところが近いのかも。「主(しゅ)よ」というか、「主(あるじ)よ」?
「主よ」と呼びかけられる「アナタ」、呼びかける「ワタシ」が何者なのかがおおいに気になるところ。曲(物語)が収められた大枠たる世界(地平線)が「ワタシ」……かなーとぼんやり考えてみる。つまり後述の《地平線》が「ワタシ」? ああでも、各曲の冒頭にある文からすると、「ワタシ」と「書庫」(「地平線」の言い換えと見る)は別個の存在だよねたぶん。「其の地平線」が「Nein」だとするなら、「ワタシ」は……いわゆる想像力とかそのへん? いや、ぶっちゃけ例のサングラス状の謎デバイスに芽生えた自我が「ワタシ」と言ってるわけかな。
で、「アナタ」は各物語の主人公と言うべき人々のことであったり、あるいは自己という主観の内に物語を捉えなおす我々(=ローラン)のことであったりする、のかも。そうするとこれまでに色んなローランがやっているであろう解釈、想像という創造行為を、否定することにのみ限定したうえで公式がやってみたよ、というのが今回の地平線というわけかな。ブックレット最後の2頁にある文章を追ってみても、物語という事象を主観でもって無限に観測してほしいとの意に受け取れるし。

■《主》→「あなた」
 「《主》が残した? 物語の中から → ~」
サビでだけ、「主」でもなく「アナタ」でもない、「《主》」の表記。なんだろうこれ。我々のことか、物語の彼らか、はたまたぶっちゃけ Revo か。
「残した?」「紡いだ?」「繋いだ?」と曖昧に説明されてるのも引っかかる。「ワタシ」もまた各物語がどこから来てどこへ行くのかわかってないってことかな。

■「箱の中の猫は... 生きているのか? 死んでいるのか?」
みんな大好き「シュレーディンガーの猫」(Schrödingers Katze)。
ここ含むあちこちで言う「猫」は何を指しているのかな。「ワタシ」によって別の物語を辿ることになった主人公達? そうすると「生きている状態」「死んでいる状態」はそれぞれどういうものになるんだろ。
 「逆説定理」→「パラドックス」
「確率解釈」と「逆説定理」も例の思考実験に関わる言葉だった気がする。

■《地平線》→「せかい」

■《主》→「あなた」
 「幸福」→「しあわせ」

■【楽劇】→「ショウ」
 「人生」→「いのち」
 【通路】→「とおりみち」
黒猫4人のターン。誰がどの歌手なんだ。とりあえず南里さんはいる……ような……? 声を聞き慣れてるわけではまったくないから自信はない。ヘンリエッタとか「暁の車」とか懐かしいなあ。
それにしても今回、声優さんが歌うことが増えてるようでついニヤニヤしちゃう。深見さんとか嬉しくてもう。ボイスのほうにみえる梶さんは今回が初出演。もしかして進撃の縁で声がかかったのかな。
黒猫4人に割り当てられたドイツ語の名前はそれぞれ、【 】で囲まれた部分に相当。ちなみに大文字で表記されてる部分を抜き出して繋げると「Schrödinger」になる。
「此れより御見せする【楽劇】」が否定された先の物語群のこととして、「人生の【通路】を騙」るのはこれがさも本来あるべき物語のような顔をすること? で、それらが「【事象】を否定する地平」たる世界の「舞台装置」……背景や部品になる? とりあえず何か残酷なことを言っているような気がひしひしとする。

■「Miau Miau ~」
猫の鳴き声をドイツ語では「miau」と表す。「ミャウ」。ちなみに「miauen」は「ミャウと鳴く」を意味する動詞。どうでもいいけど我が家の愛猫は「あ~ん」と鳴いてる気がする。たまに日本語喋ってるように聞こえないこともない。喉にからまったような声で鳴く時はたいてい何か不満がある時。
 「咲 い た 花 は 散 り 逝 け ど」
直後の猫のシルエットで「黒猫は」と歌わせる。

■《主》→「あなた」
 「運命」→「さだめ」
物語そのものを「運命の檻」と言い換えてるのかな。でここのくだりは、我々の解釈次第で変容する現実とかそういう低次の話じゃなく、より高次の、観測される前の物語世界そのものというリアルをひっくり返すという所行を指すものか。いやはやなかなか乱暴かも。

■「そして... 生命が生まれて... いずれ消え逝く世界で...」
 「生命」→「いのち」
抜け出した先の世界で紡いだ詩が、どこかを否定されることによって生まれる物語? このへんはなんだかロマンチックでポジティブな歌詞になっててうっかりうっとりしたくなるけど、やってることはちゃぶ台返しみたいなアレかと思うと、うーん……。まあそれだって《幻想の自由》の内ってことなんだろうけど。

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『Nein』

1 《問に対する否定の返事》 いいえ

■『Nein』 Sound Horizon
9th_nein郁文堂独和辞典よりごく一部を抜粋。 ja の対義語。ノー。ネイ。ニェット。ちなみに数詞の「9」はナインではなくノイン(neun)。タイトルはたぶんドイツ語の「nein」と英語の「nine」を掛けてるんだろうな。ナレ担当も Ike と Sascha 両方いるし。
つい最近デラックス版の外観を見て、発売日は間近に迫るも今から別のバージョンに鞍替えするのがベターなのではないかとの考えが頭をよぎった。だって、すごく……箱です……。ライブ映像のことを思えば選択肢はこれしかないんだけども。
実際届いたこれを見た後だと、ヴァニスタのデラックス版がますます素晴らしいものに思えてくる。しかもあっちは大判の冊子つきだからああいう形状になると充分納得できるわけで。今回の、何というか、前に見たジオラマ仕立ての宗教画(? たしかキリストと十二使徒の最後の晩餐だった)のようなあれを目指してのことなのかもしれないこれは……うーん。別に立体感と言ってもそこまでではないんだけど、箱の奥行き(高さ?)の分だけ距離を保って見なければならず、そうすると何やら不思議な感じ。「西洋骨董 屋根裏堂」によればアルヴァレスの鎧と『Thanatos』の少女のマリオネット(ジャケット絵の彼女そのまんまっぽい)だけど、このふたつだけを浮かび上がらせたいがためのこの箱なんだろうか。それと「猫」。奥の平面絵はいい雰囲気だとしても、全体の作りはちょっとちゃちいかもしれない。雰囲気はいいんだけどいかんせん箱すぎて……どうやって保管しよう、これ。飛ばされた8番目の地平線は豪華版も保管しやすく扱いやすいものでありますように。ちなみにグラサンを掛けて例の絵を見たりしても何も起こらない模様。ヴァニスタの手紙のような仕掛けも今のところ未発見。下手にバラして元通りにできる自信がないぜ……。

一通り聞いてみて、9th Story CD と銘打たれたこれもまた、サンホラ10周年記念という企画のひとつだったことが腑に落ちる。過去の物語のどこかに「nein」を突きつけることによって生まれるもしもの世界、それらを集めたものがこれであるということらしい。過去作を振り返りつつの、ある意味アレンジアルバムと言えるかも。仮タイトルが「Bastet」だったからファラオの謎にでも挑むのかと思ってました、ハイ。蓋を開けてみれば思いっきりシュレーディンガー。箱という檻の中の猫、観測、平行世界と、「Ark」以来のSFチックなアプローチ、テクノサウンド。新鮮と思いきやそれらとちぐはぐのような好相性のような「西洋骨董 屋根裏堂」なる舞台が異彩を添えて、全体としての印象はなんともつかみ所がないという感じ。謎の数字とアルファベットがそこここに乱舞してるし、もうどこから手を付けていいやら。ところで猫4匹の名前は Schau(展示、視点、見せ物)、 Röhre(管、パイプ)、 Ding(物、事)、 Gerät(器具、機器、道具)となってるようだけど、シュレーディンガーの猫にゆかりのものなのかな。量子力学(?)に明るい人はよろしく考察のほど。私はせいぜいウィザブレ5巻を読み返すのが精一杯だ。
「輪廻」の頁のURL(アクセスしてみたけどこれと言って特に何もなかった。あるいは同じ頁にある数字を操作してURLに加えればいいのか?)、知らない名前が一気に増えて誰が誰やらなボーカル陣、便宜上 R.E.V.O. となってる Revo の意味合い(つい E.A.S.Y. を連想した、けど「西洋骨董 屋根裏堂」と「最果てのL」に答えが載ってた。要するにグラサン)など、気になるところは多い。まだ見ぬ飛ばされた第8の地平線が垣間見える点にも注目。しかし、8ってすごく遊べそうな数字だよなあ。オクターブ、無限大、メビウスの輪、2匹の蛇のウロボロス。
聞き取りはめちゃくちゃ難航しそう。虫食い覚悟でよーしやるぞー。

22日追記。
今日の午後に例のページにアクセスしてみたら何やら出現。21日ではどうやらフライングだった模様。自分でもフライングを疑って、日付が変わってしばらくした頃に開いてみたりしたのだけど、やはりいつ頃かに更新されたっぽい。午前9時以降とかかな。

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